クラゲ由来糖たんぱく質
クラゲ由来の糖たんぱく質、なかでも、ムチン型糖たんぱく質の抽出に成功しました。「ムチン」というと、ネバネバ物質の総称としても使われることが多く、オクラや山芋を思い浮かべる方が多いと思いますが、オクラや山芋に含まれるネバネバは多糖と呼ばれる物質のことですので、ムチンではありません。
ムチンとは、化学的には動物の粘液”mucus”をその語源としており、動物の粘液の主成分です。つまり、化学名称として、ムチン型糖タンパク質(タンパク質に糖が結合した物質)を指します。このムチン型糖タンパク質は植物にはなく、動物しか持っていません。
ムチン型糖たんぱく質は、動物の目や関節、消化器などに局在して細胞組織の保湿や潤滑、細菌の侵入などから保護を担っている大切な物質の一つと言われております。最近は、ムチンの生体親和性を活かして、様々な生体材料の表面コーティングなどにも使われており、生体模倣素材として注目を集めています。しかし、体内の存在量は微量であり、巨大高分子のため化学合成が難しく、素材として活用していくためには多くの課題がございます。
私たちはクラゲ中ムチン型糖たんぱく質に注目して、この製造販売の事業化を目指しています。クラゲは大量に発生しており、潜在的に未利用のバイオマスとして膨大な量が存在しているからです。クラゲ由来ムチン型糖たんぱく質の構造は糖鎖が短く、簡単な構造をしていることを特徴としており、機能性材料の出発物質としても非常に有望と考えています。さらに、このクラゲ由来ムチン型糖たんぱく質は、ヒトの眼や関節などで潤滑を担っている糖たんぱく質の一種であるLubricinという物質に類似した構造をしていることからドライアイや関節疾患などの治療薬の開発につなげたいと考えています。
※クラゲ由来ムチン型糖たんぱく質は、まだ販売を行っておりませんが、研究用途については有償でのご提供も行っております。ご興味をお持ちいただけましたら、<お問い合わせ>よりご連絡ください